猫たちが寝ている
不安も恐怖も感じない
やすらかな顔のまま
猫たちが寝ている
二匹の寝息は静寂の中
耳をすませても聞こえない
規則的に腹が動くことだけが
呼吸の証となる
また巡ってくる
あの命日祭と
祭りの後から始まる路が
心を支配する時期が
また巡ってくる
想い出の中でも
想像の中でも
私と仲間たちが
あの砂漠を歩く時にあるのは
路を行こうとする意志だけ
脳味噌までもが溶けてしまうような
熱風に吹かれれば
感覚も意識も経験も
結局は使い物にならなくなる
意志だけが肉体を動かす
目の前にある風景に同化できるか
もしくは何者にも同化しないか
どちらかができていれば
心の安定は保てる
今、私の座るそのすぐ横で
寝ている猫たちのように
心の安定は保たれる
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