2012/11/26

24年ぶりに訪れた街〜ジャイサルメール#1




(Photo by iPhone)





インド・ラジャスターン州・ジャイサルメール。
今回、24年ぶりに訪れた街だ。
20年以上前の記憶など言わば幻のようなものだ。
その幻を携え歩き、抱いたGapは街の大きさへの疑問だった。

今回はパキスタンでなく、インドをメインとした移動ということもあり
久しぶりにガイドブック=10年前のロンリープラネット・インド編を
日本から持参していたが、そのロンリープラネットの
ジャイサルメールに関する記事中にある地図を見てもどうも尺があわない。

街を歩きはじめてすぐにその事に気付く。
うっすらぼんやりかすかに残っている記憶のエピソードを頼りに
城壁の外に出てすぐにあったはずの樹の下のラッシー屋台を探した。

ヴァラナシのようにジャイサルメールには政府公認のバングショップがある。
バングはweedをふやかしペースト状になるまで擂ったものだ。
政府公認バングショップでは擂って丸めたバングそのものの他に、
バングを練り込んだクッキーや、店によっては擂る前のweedが売られている。
そしてバングショップの近くには必ずと言っていいほどラッシー屋がある。
ラッシーの中にバングを溶いて飲むのだ。
昔からバングはアーユルヴェーダの一つされ用いられたという話を聞いたことがある。
州によってはそれが未だに薬草として扱われている。
ちなみにパキスタンではブーティといい、ラッシーではなく水に溶いて飲む。
ウルスやメラなどではブーティ売りをよく見かけることができる。

実際に城壁の外には2件の小さなバングショップがあった。
20年前にはもっとあったはずだが、とにかくバングショップを基点に
大きな樹の近くにあるラッシー屋台を探した。

24年前のジャイサルメールのエピソードの一つに、
城壁の外にある大きな樹の下のラッシー屋台でバングラッシーを飲んで
その効き目に宿に帰るのに数時間迷ったということがあった。
バングラッシーには大抵数種類のクオリティがあり、
(ライト、ノーマル、ミディアム、ストロング、スーパーストロングなど)
自身の体調、weedの部位や収穫時期によって効き目に大きな差があり、
私は昔からミディアムと決めて飲んでいたが、その時も確かに注文したのは
ミディアムのはずだったが、まぁ、とにかくバキバキに効いてしまったわけだ。

10年前のロンリープラネットの地図は全く役に立たず、
記憶そのものはロンリープラネットよりさらに10年も前の幻だったが、
城壁を2周する中で幻に何とか適合する樹を探し、そこから一番近いラッシー屋台で
話を聞いてみることにした。

ラッシー屋の主人はほぼ私と同じ年齢だった。
20年以上前にジャイサルメールを訪れ、城壁の外でバングラッシーを飲んで
バキバキになった想い出を話すと、それは間違いなく俺の店でその当時はまだ父親が
店を切り盛りしていたと言いながら、奥の方から昔の写真アルバムを探し出してくれた。
写真は色褪せていたが幻の風景と重なった。
10年前に区画整理があって道路が拡張され、樹から店が離れたらしい。
写真の風景は強烈に幻の記憶をまさぐりながら適合して行く。
暖かいものが込み上げてくる。
それは24年ぶりに自分の軌跡を確かめた喜びの現れだった。

しばらく店主と色褪せた写真を眺めながら話した。
城壁内も随分と変わり宿泊施設や店など当時からすればかなり増えたようだ。
24年前に泊まった宿は城壁の外だったが、その頃は城壁内で外国人の宿泊できる宿は
2〜3件しかなく、城壁の外も10件にも満たなかったと言う。
今やそれが10倍以上に増えてるとのこと。
今回、投宿した城壁内のDeepakゲストハウスはその2〜3件でも最も古くからあるらしく、
昔のことが聞きたいなら丁度いいということも教えてくれた。

どのくらい滞在するんだ、今回は?と訊かれ
私が答える前に妻が
着いたばかりだから、そんなこと知らないよ、と答え
そりゃそうだ、と想わず顔を合わせて3人で笑った。

そして2012 ジャイサルメールの日々は始まった。
ちなみにそのラッシー屋台では現在でもバングラッシーがクオリティ別に
メニューに記載されている。












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