2009/01/06

てんびんばかり -(河島英五)









河島英五の曲に「てんびんばかり」という歌がある。
1976年に発売されたシングル・レコード盤「酒と泪と男と女」の
B面に収録された曲だ。
オリジナルの詩は以下の通りだが、河島英五は時代を経る中、
詩を少しずつ変えながら歌った。

私はインドでこの曲のオリジナルを初めて聴いた。
ヴァラナシの古い安宿のドミトリーに宿泊していた日本人旅行者が
弾き語りで歌ってくれたのだ。
その旅行者はギターと小さな鞄一つで旅をしていた。
オリジナル曲の他にビートルズやグレイトフルデッドの曲も歌っていたが、
カルカッタへ向けて出発する前日、3回目のアンコールに応えて
最後の曲として「てんびんばかり」を熱唱したのだ。

聴いているうちに涙が込み上げてきた。
曲そのものと、それを歌い上げる旅人そのものに素直に感動したのだ。

寂しげなマイナー調の曲だが、何と言っても詩が素晴らしく好きだ。
そして河島英五の無骨で荒々しい風貌に昔の旅人達が重なり合い、
当時の時代背景や目の前を通り過ぎた人々の大きなメッセージのように
いつまでも私の心の中で色褪せない曲だ。




「てんびんばかり」 /河島英五


真実は一つなのか
どこにでも転がっているのかい
一体そんなものがあるんだろうか
何も解らないで僕はいる

そしてそれがあるとすれば
どこまで行けば見えてくるんだろう
そしてそれがないものねだりなら
何を頼りに生きて行けばいいんだろう

家をで行く息子がいる
引き止めようとする母親がいる
どちらも愛してる どちらも恨んでる
どちらも泣いている

偉い人は僕を叱るけど
その自信はどこからくるんだろう
でも もしも僕が偉くなったら
やっぱり僕も誰かを叱るだろう

男はいつでも威張っているけど
どんな目で女を見つめているんだろう
女はいつでも威張らせておくけど
どんな目で男を見つめているんだろう

僕が何気なく呟いた言葉が
君をとっても悲しませてしまった
慰めようと言葉をかけたら
君は泣き出してしまった

長い間 君はとっても
辛い思いをしてきたのでしょう
やっと君を幸せにできると
思ったのに君はもういない

毎朝決まった時間に起きる人の
喜びはどこにあるんだろう
電信柱に小便ひっかけた
野良犬の悲しみはどこにあるんだろう

うちの子犬はとても臆病で
ひとりでは街を歩けない
首輪をつけると とても自由だ
僕を神様だと思っているんだろう

拳をあげる人々と手を合わす人々が
言い争いを続ける間に
ほらごらんなさい野良犬の母さんが
かわいい子犬を生みました

母親が赤ん坊を殺しても
仕方のなかった時代なんて悲しいね
母親が赤ん坊を殺したら
狂ってると呼ばれる今は平和な時

誤摩化さないで そんな言葉では
僕は満足できないのです
天秤計りは重たい方に
傾くに決まってるじゃないかい

どちらももう一方より重たいくせに
どちらへも傾かないなんておかしいよ

誤摩化さないで そんな言葉では
僕は満足できないのです
天秤計りは重たい方に
傾くに決まってるじゃないかい

どちらももう一方より重たいくせに
どちらへも傾かないなんておかしいよ












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