2009/02/11

DOWNTOWN TRAIN -Tom Waits










酔いどれ詩人という異名で知られるTom Waits。
その特徴的な力強さに滲む嗄れた声が
聴く者を惹きつける。
楽曲においてはジャズ的なピアノ演奏もあれば、
実験的な不協和音を連鎖させた
不思議な私小説的な物語を展開することもある。

そしてそれらの物語は
雄大な夕暮れや薄暗いBarや野良犬が彷徨う路地裏や
抜け出しようのない心の迷路に映える。

Tom Waitsを私が初めて聴いたのは1985年だった。
その年にTom Waitsはアルバム「Rain Dogs」を発表した。
1973年のデビュー以来、8枚目となるアルバム「Rain Dogs」は
実験的な音作りに難色示したアサイラム・レコードから
新天地アイランド・レコードへ移籍して最初のアルバムになる。
レコード会社を移籍することによって
Tom Waitsの世界観は確実に大きく展開したことが
「Rain Dogs」に証されている。


1988年夏、沖縄 伊江島で漁師の仕事を手伝っていた私は
毎晩 Barで飲んだくれていた。
当時、島には一軒だけ木造の洒落たBarがあり、
そのBarではよくTom Waitsが流れていた。
BarのオーナーもTom Waitsが大好きだったようで
CDの他にレコード盤もすべて持っていたくらいだった。
ただ、「Rain Dogs」だけがそのコレクションにはなかった。
那覇に行った際にはいつも探してみるのだそうだが
何故か手に入らないことが続いていたらしい。

翌日、私は国道一号線をバイクでひた走り那覇へ向かった。
朝一番で島を出て、夕暮れ時の最後のフェリーで何とか
島に戻ることが出来た。
その晩はBarのオーナーと店を閉めてから「Rain Dogs」を
聴きながら泥のようになるまで酔いつぶれた。

「DOWNTOWN TRAIN」はアルバム「Rain Dogs」に
収録されている楽曲だ。
1989年にロッド・スチュワートによるカヴァ・ヴァージョンが
世界的にシングルヒットしたが、
やはりこの曲はTom Waitsが歌ったものが一番いい。












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