2009/02/14

悲しい酒 -美空ひばり












昭和という時代の歌謡史を代表する歌手、
美空ひばり。

女性としては初の国民栄誉賞を受賞している歌姫。
終戦まもない1945年にデビューして以来、
病魔に没する1989年までその枯れぬ存在感をもって
昭和の歌謡界、演歌界を牽引した。

その歌唱力、表現力は凄まじく圧倒的だった。
演歌は日本の大衆音楽的ジャンルの一つであるが
美空ひばりは演歌というジャンルにとどまることなく
幅広いジャンルで大衆を惹きつけたのだ。

中学生になった頃、
私はギターを弾くようになったが、
その当時はまだまだ演歌というジャンルに興味がなかった。
昭和という時代が終わり平成が始まった頃、
時代を振り返り眺める中で私は演歌というジャンルを
自分なりに受け入れるようになった。
きっと酒を通して肴や時間や人情を味わうようになったのも
その頃だったのだろう。

演歌の歌詞のキーワードとしてあげられるものに
「海・酒・涙・女・雨・北国・雪・別れ」があるが、
その中でもとりわけ私が「酒」というキーワードに惹かれるのは
演歌を受け入れる過程に基づいているのかもしれない。

タイのKoh Chang(チャン島)、ホワイトサンドビーチで
水平線に沈む夕陽をビールを飲みながら
デッキチェアで眺めていた時、
レゲェ音楽の後でCafeから大音量で流れた
吉幾三の「酒よ」には大いに感動したものだ。


今回とりあげる楽曲は
美空ひばりの「悲しい酒」。
この曲を聴くと昭和という時代を何気に感じながら
美空ひばりを想い出し、
この曲が好きでカラオケで歌っていた
自分のお袋と女房のお袋を想い出す。



「悲しい酒」


ひとり酒場で 飲む酒は
別れ涙の 味がする
飲んで棄てたい 面影が
飲めばグラスに また浮かぶ

ああ別れたあとの心残りよ
未練なのね あの人の面影
淋しさを 忘れるために
飲んでいるのに 酒は今夜も
私を悲しくさせるの 酒よ
どうしてどうして あの人を
あきらめたらいいの
あきらめたらいいの

酒よこころが あるならば
胸の悩みを 消してくれ
酔えば悲しく なる酒を
飲んで泣くのも 恋のため

一人ぽっちが 好きだよと
言った心の 裏で泣く
好きで添えない 人の世を
泣いて怨んで 夜が更ける



作詞は総作詞作品3500曲以上にも及ぶ
作詞界の大御所、石本美由紀。
美空ひばりの他に島倉千代子、都はるみらの
楽曲を手がけている。
平成時代の多くのジャンルの楽曲詞が
まるでブログ的なのに対して
昭和歌謡界における演歌詞には
私小説的な大きな広がりを感じるのは
私だけだろうか。

作曲はやはり国民栄誉賞を受賞した
昭和の作曲家で演歌の巨匠と言われる
古賀政男。











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