2015/04/24

路の途中で




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毎年、開催される聖者Lal Shahbaz Qalandarのウルス。
パキスタン全土から数十万人が訪れる聖者の命日祭のその後で、
数百人のコアなスーフィー達が聖者の軌跡を巡る砂漠の巡礼が始まる。

州を股にかけたその砂漠の巡礼は想像以上に過酷だ。
Oasisを経由して進み、Oasisに水源がなければ
次のOasisに進まなければ水を手に入れることができない難所もある。
日中は大して進むことができない。太陽に焦がされてしまうからだ。
太陽の光を遮ることのできる場所をいかに熟知しているかも巡礼には大切だ。

写真は日中、小さな岩場の隙間で日が傾くのを待つ巡礼者。
私も朦朧としながらこの岩場で数時間を過ごした。
Oasisに辿り着いたのは夜になってからだ。
昨晩のOasisでその日を語り共に明日の路へ想いを馳せた顔がなかった。
その次の晩もまた昨日の顔が減っていた。多くの者が命を落とす巡礼だった。
しかし死を持って聖者と一体化した巡礼者を大袈裟に哀しむ者はいない。
たとえ涙が溢れたとしてもすぐに乾いてしまうような砂漠の巡礼において
死は常に生の隣合わせにあり、肉体の終わりは魂の新たな旅の始まりだからだ。

旅の終わりは旅の始まりであることを巡礼者は知っている。






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